ファッションポジウムに出演したぽよ
去る6月3日に東京大学安田講堂 ファッションポジウムにモデルとして出演したお話.
blurorange代表の松村さんとの出会い
ファッションポジウムの主催者は東京大学東洋文化研究所の安富歩さんとblurorangeの松村智世さんです.友だちの紹介で,私が松村さんにお会いしたのは4月末のこと.私は以前ハフポストさんやねとらぼさんの記事を読んで松村さんの取り組みを知っていたので,打ち解けるのは早かったように思います.
いわゆる異性装者マーケティングに特化したアパレルブランドというのはマイナーにはいくつか存在していて,ニッチ戦略を取っているか,経営者が好きで展開しているとか,そういう理由だったりします.そのような中でblurorangeの独自性というのは,松村さん自身の緩やかな当事者性*1にあるんじゃないかと私は思いました.「ファンディングのためにメンズサイズとか書いたけど本当は書かなくてもいいようにしたい.誰が何を着てもいいようにしたい*2.」とおっしゃっていて,素晴らしいフィロソフィーとその行動力に感動したのを覚えています.そのときはモデルを探しているとのことだったので,私でよいのであれば使ってくださいと快く承諾しました.
当日の様子
■ファッションポジウムとは
アパレル業界の閉塞の根底には、ファッションを切り分けて思考する態度があります。そして、さまざまの切り分けの中で、もっとも根源的なものが、男女の切り分けです。
なぜ、男女で違うものを着なければならないのか。“切り分け”という発想そのものを問い直し、性別を超えることはできないのか。そのためのいくつかの試みを通して、ファッション業界に新しい風を吹き込みたいと考えております。
安田講堂という象徴的な空間の力を借り、既存のファッションショーのような、“みせる側”と“みる側”という切り分けも取り払い、開かれたコミュニケーション空間を作り出します。
会場は,安田講堂の名で知られる東京大学大講堂です.東京大学のシンボル的存在であり,登録有形文化財でもあります.収容人数は1,144ですが,2階席*3の大部分も埋まるほど多くの方にご来場いただきました.
本番
今回のファッションショーではblurorangeさんの新作も多く発表されていたのですが,私が着させていただいたのは新作ではありません.以前からあった,「レース丸襟ワンピース/ブルー」と「ひかえめガーリーカーディガン/オーガニックホワイト」です.これは,松村さんが「モデルさんが着たいものを選んでほしい」というリクエストで私が選んだものです.blurorangeさんの服を着させていただけるなら一番アイコニックなレース丸襟ワンピース*4がいいなと思っていたので,希望が叶い,とても嬉しかったです.
私のメイクはこだめさん*5,ヘアセットは資生堂ヘア&メイクアップアーティストチームに担当していただきました.
また,パンプスは株式会社丸井グループより提供していただきました.
イベント当日はブースも出展されていました.写真にあるように幅広いサイズ展開で,より多くの人が手に取ることのできる商品作りに努めていらっしゃいます.
ファッションショー中のナレーションは女優の木内みどりさんが担当してくださいました.また,音楽は片岡祐介さん,鈴木潤さん,吉田サハラさんが担当してくださいました.即興音楽と共に講堂の壇上を歩く一体感は,とても言葉で表現できないほどに優しかったです.
イベント後
みんなのファッションショー
www.instagram.com
「みんなのファッションショー」は来場者も登壇してカメラマンにスナップを撮ってもらおう!という企画で,その様子はInstagramでチェックできるのだけれど,この写真たちの素晴らしさたるや.主催者側だけでは表現しきれない「誰が何を着てもいい」が表現されているように思います.
友達の反応
なぜか涙が溢れてきた。
— 華南 (@sexy_drag0n) 2018年6月3日
多分嬉しかったんだと思う。
素敵でした。#ファッションポジウム pic.twitter.com/tTv9RhBTMg
#ファッションポジウム
— すずき🐣よぴこ (@4piko) 2018年6月3日
なんてやさしい場所なんだろう
このイベントを作り上げた人たちの闘いの成果なのだけれど
まわりの参加者と一緒に惜しみない拍手を
私もイベントを終えるまで不安と戦っていたので,足を運んでくれた人たちやサポートしてくれた人たちに感謝します.
服飾マイノリティ*6
自分がほしいデザインの服の半分がメンズで、全部でかいし、着れるけど、バンされてるような気がしてもどかしく思うことがとても多い
これは,イベントに行けなかったけど情報をチェックしたよという友達からのメッセージなのですが,本当にその通りだと思います.バンされた,除外されてしまったという気持ちとみんな日々戦っているんですね.私も比較的長身なので,普段は着て似合うものを選ぶことに徹してしまっているような気がします.背が高いことはそれだけで目立ちますし,傷つく言葉をかけられることも少なくありません.おまけに髪もスーパーロングなので,それに対して失礼なことを言われることも多いです*7.
例えば,ZOZOSUITのような計測システムとサプライチェインが,デザインとサイズを切り離し,あらゆる人が性別や体格,その他の属性に依らず,同一のスキームで欲しい服を手に入れられるようになるでしょうか?社会実装に限界があるとしたらどこでしょうか?私はエンジニアなので技術で解決できることが増えたらいいなと思います.